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二時間でかいたなんか


「トモダチ」



「でね、その車が私に突っ込んできたのよ! 酷い話よね! ほら、ここ、欠けちゃったたし!」
「それは……昨日は災難だったね」
 私は深々と頷いた。ただ、この光景を見た者は皆、変なものを見る目で私を見る。それもそうだ、私が話している相手は『物』なのだから。
「本当に嫌になっちゃうわ! もうずっと立っている飽きたし、横になっちゃおうかしら」
 私の会話の相手は電柱だ。未来には喋る電柱というものも存在するかもしれないが、私の目の前に立っている電柱はコンクリや鉄筋でできた無生物である。
「そのうち傷を補填してくれる人が来てくれるから、もう少し頑張らない?」
「いや、もう倒れるのよ。一応頑張ってはいたけど、もう、無理! そこから離れなさい!」
 そう聞いてから、数秒してその電柱は倒れ始めた。最初はゆっくりと、そして最後には鈍重な音を辺りに響かせながらそれは倒れた。幸いにして私は忠告通り離れていたので、巻き込まれることはなかった。
「横になった気分はどう?」
「最悪ね! まず腰が痛いし、頭も痛いし、頭も欠けるし、これなら立っていた方がマシよ!」
 彼女も真っ当な電柱として更生してくれたようで私はほっと息を漏らす。まぁじきに業者が直しに来るだろうから放っておいても大丈夫だろう。私は適当に彼女と挨拶を済ませ、その場を去った。
 私は物ごころついたころから、物と喋れるようになった。ちょっと上手いこと言った気がするが別にそういう意図があったわけではない。普段から一人で遊ぶ事が多かった私はいつしか物と喋るようになっていた。最初は人形遊びの延長のような、一人おままごとのようなものだった。しかし、ある日を境にその人形から声を聞くことができるようになった。私は嬉しかった。親はあまりかまってはくれないし、そもそも体が弱く、家からあまり出ることも出来なかったので同年代の友人もいない。そうやって物と幼少期を過ごした私が小学校で上手く喋れるはずもなく、あまり友人らしい友人も作ることもなかった。そもそも物と喋れるので、喋る相手には困ることがなかったので、寂しいとあまり思わなかったのも原因だったのではないだろうかと今なら思う。
 そうやって幼少期を過ごし、義務教育を終え、とりあえず高校へ進学した時にやたらと私にかまってくる変な奴が現れた。そいつは私が物と話をしていても、何の疑問も持たず、何かしら興味を示してくれた。面白そうにしているのを見ると私としてもなんだか心がほっとするのだが、どうにも彼と上手く会話ができないのが気がかりであった。ずっと物としか話していなかったので、人というか生き物と話をするのはとても苦手であった。
 生物的な感情というものが私に欠落していたのかもしれない。私が話す相手というものは常に無機質であったので、物としての感情しか理解できない。両親も仕事が忙しかったのでそこまで親しくしてきたわけではない。私が話すのは私が個として認識した物、認識できた物のみ。人というものはよくわからない。しかしそれでも彼は話しかけてくれた。
 そんな彼がいじめられていると知ったのは突然の事だった。こんな変なのにかまっていては仕方のないことなのかもしれないが、彼を取り巻く環境が段々と暗くなっていった気はしていた。しかし、そういうものに疎く、既に慣れてしまっていた自分にはよく理解できていなかった。彼がいじめられていると認識できたのは彼が入院してからだ。遊び半分で彼に暴力を与えたらしい。というそんな話がどこからか聞こえてきた。
 私は生まれて初めて腹の底から何かが込み上げる衝動に駆られた。私にもこんな感情というものが存在したとは驚いた。私は動いた。
 そもそも、いじめというものはいじめる方がいじめの対象よりも強いという認識の上で『相手が弱いならば多少乱暴な扱いをしても被害はないから好き放題してもいいのだろう』という認識の元でやっているのだろうと私は考えていた。その強さというものが肉体的か精神的かは違えど、自分よりも強い者はいじめの対象とはなりえないだろう。
 私は物と会話をすることで、そのいじめの主犯格及びその周辺人物についての情報を収集することとした。
 そして作戦は驚くほどの成功を収めた。物というものはよく喋るもので、奴らの秘密を余すところなく全て話してくれた。個人の秘密やコンプレックス。人間関係に恋愛のもつれ、そして二股。奴らに釘を刺すには十分な材料であった。
 彼が学校に戻ってきたときに教室は私たちにとって驚くほど居心地がいいものになっていた。彼以外の存在は大方どうでもいい存在であったので、静かにさえしてくれればそれでよかった。
 そうやってのんびりと過ごしていたら、彼がこんなことを言い始めた。
「一緒に生徒会に入らない?」
 私は耳を疑った。どうして? 私と? 何故?
「君のようなのこそ生徒会にいるべきだと僕は思うんだ。そう君のような全ての人の心がわかる人がね」
 私には何を言っているのかわからなかった。私が全ての人の心がわかる? 私は今まで人との交わりを絶ってきたような人間で、褒められるような人間関係を築き上げてきたわけでもない。こんなどうしようもないのがどうして人の心などというものがわかるだろうか。
 しかし、それでも彼はなお食いついてきた。君のような他の生徒を救うためだとか。君にはその素質があるだとか。なんだかあまり興味の湧かない内容だったのは覚えている。むしろ、私以外の他の人に目が向くのがなんだか居心地が悪い気すらしていた。しかし、その彼の真摯な態度が崩れることは無く、ついに私が折れた。
 それからは選挙活動という名の情報収集活動が始まった。私はいじめっ子の情報収集をする要領で、全校生徒のありとあらゆる弱み、プライバシー、個人情報を暴いていった。元々変な奴だという認識があったので、思っていた以上に情報収集はスムーズに行うことができた。私としては、そんな情報などというものはどうでもよかったのだが、情報を集めるたびに彼が喜んでくれるのは嬉しいと感じていた。彼がその情報をどう利用しているのかとかそんなことはどうでもよかった。私の世界には彼しかいなかった。
 そうやって選挙は味気ないほどの大勝を収め、私たち二人は生徒会に入ることができた。まさか彼が生徒会長として立候補するとは思っていなかったが、そんなことは些細なことだった。
 生徒会での活動はまた満ち溢れたものであった。生徒会長という肩書と、個人情報を掌握した彼には一分の隙もなかった。私は私で全ての情報を元に全ての生徒を掌握していた。何か問題が起こればその情報を元に事件の収拾を行う。いとも容易いことであった。
 そんな彼が急によそよそしくなったのはいつだったか。私が気付かないふりをしていたのかもしれない。しかし私は決定的な証拠を学校から聞いてしまう。
「ぁあ、あの彼? あなたといつも一緒にいるあの人だけど、私(校舎)の裏で誰かとキスしていたけど、あれってあなたの良い人じゃないの?」
 と、言われたが、別に彼と付き合っていたわけじゃないし、別に誰と付き合おうとも構わない。私にさえ構ってもらえればそれでいいと、思っていた。次の瞬間までは
「ぁあ、そうなの。あ、そういえば、その彼が言ってたことなんだけど、そのキスしていた女にあなたのことを聞かれた時に『あれは都合のいい便利な女だよ』とか言ってたわね」
 それを聞いた私は驚くほど冷静であった。冷静であった。冷静であった。冷静であった。冷静であった。冷静で。

 次の日、私は生徒会室に向かう。それはいつもと同じ道のりだったのに、いつもよりも遠く感じた。あまりにも遠い、そして暗い廊下を一歩また一歩と進んでいく。
 生徒会室を開けるといつも通り、彼だけが部屋にいた。個人情報についてのやり取りは二人でしかできないので、休み時間に示し合わせて毎回待ち合わせをしているからだ。そんな彼がいつもよりもくすんだ笑顔でいつも通りのやり取りをしにきたので、私は思いっきり彼の腹に突っ込んだ。彼の生温かいものが私の手の中に染みいる。制服に染みいる。心に染みいる。
「え、どう……し……」
 彼がどんな表情をしているかなどわからない。見ない。知らない。彼からどっと生気が抜けて落ちていくのを感じた所で、私は彼から離れた。
「どうして刺したの?」
 彼から聞こえてくる声がとても透明になった。
「どうしてって、あなたの胸に聞いてみれば?」
私は冷たく答えるも、彼は大声で笑った。耳障りなぐらい大声で、いやらしい笑い声を私に浴びせかけた。
「今更気付いたんだ? そうだよ、利用したさ、君を。じゃなかったら君みたいな変な女と関わるわけがないだろ? 君は実によく働いたよ。ただ、君の情報収集能力を甘く見ていたのは誤算だった。随分と長い間気付かれなかったから、校舎裏は安全だと思ったのだけれどもね。実に残念だよ。だけどそれ以外は完璧だった! 君は実に都合のいい道具だった!」
 私は彼の腹から包丁を抜き出した。その包丁をまた今度は顔に突き刺した。何度も何度も原型を留めない程に刺すと、彼の声はもう二度と聞こえることはなかった。
 彼の声が聞こえなくなった途端、何故か涙があふれ出た。
包丁は笑っていた。

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  1. 2010/11/13(土) 17:36:12|
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