ぽてばす!

無能


@PotemkinBuster からのツイート

おわったぞぶるぁああああああっっっ!!

はい、みなさまおひさしぶりんこです。
おはようございますPBです。
今朝の課題提出をもちまして、一応課題は全て終了いたしました。
お疲れ様です!
お疲れ様です!
まぁ出席しなきゃなんないのが2/4にあるけど、まぁそれは出るだけね。
さて、今日から僕ニートいえええーい
というわけにもいかないんですねーこれが
3/14に例大祭があるんですね。

二ヶ月ねーんだよなーこれが(笑)
4+28+14=46日
一ヵ月半ぐらいじゃないか。
なにこれ。
バグ?

ふぅ……あとコミケも申し込まなきゃ……。
ジャンル悩みまくりww
安定の東方・もう一度バカテス・そして
ポチョVSテイガー(多分これだとBBで出す)
誰得って俺得だよ。
わかるでしょ?
東方とBBはネタがある程度あるが、バカテスはネタがないなぁ。
でも書きなれている補正が入るから一概にもうーん……。
悩ましい……。

うーん。

ま、まだ悩んでて大丈夫だけどね。
うーん。
あ、そうか、東方だと例大祭であまったら既刊で出せるのか。
うーんまぁどうせ委託はできるけどねノマに。
落ちたら……終るけどwwwwwww

あと、最強なのがジャンルまほらばで珠ry
でも一回やったのでもう結構満足だったりしなくも……。
有名になってからもう一度しよう(やれないフラグ

うん、まぁ、なんというか、悩ましいわねっ!!
結論は出ないまま次回へ

ノシ


↓すごくどうでもいい小説の課題が折りたたまれているだけです。

東南!板挟み生徒会!  

「諸君! 我々は今こそ立ちあがらなければならない!」
気持ちのよい秋晴れの下、我が校の生徒らは思い思いに登校していた。俺もそのうちの一人、暖陽高校二年、大原宏樹だ。さて、校庭の柵沿いに歩いていると見えてくるのは校門……のはずだったが、その校門前で男がダンボール大の台に立って演説しているようだ。
「……ので、今こそ我々は立ち上がり、この悪しき風習を取り払わなければならないのだっ!」
主に男子に囲まれて何か大それたことを言っているのは、俺の幼馴染であり、同じクラスでもある鈴川総二郎のようである。大柄でスポーツ刈りで一見するとスポーツマン風情だが中身は変人変態の濃縮還元120%ジュースみたいなやつだ。やつは大げさに身振り手振りを加えながら何かを喋っているが、そのたびにメガホンが口から外れるので、まだ若干遠くに居る俺には時々何を言っているのか聞こえない。どうせ大したことは喋っていないだろうとは思うが、いち親友というか、いち保護者というか、いち防波堤としては、発言の内容によっては台から引き摺り降ろし、教室まで引っ張って行くのが俺の役割だろう。
「よー! 宏樹! おっはあああよおおございまあああ!」
こちらに気づいた総二郎がメガホン片手にこちらに手を振る。こちらに視線が集まる。何やらひそひそ言われているような気もする。恥ずかしいのでやめて頂きたい。空気を読んで下さい。
「なんだ、朝から応援演説にでも駆け付けてくれたのか!」
「内容も知らずに朝から駆け付けるかよ」
そういえば一つ忘れていたことがある。この総二郎という奴はこの暖陽高校の南生徒会会長であった。
そして、もう一つの生徒会である東生徒会と競い合って決められた時期に採決を取り、学校の校則を決めるという珍しい校風が我が暖陽高校にはある。
この南と東なのはわけがあって、我が校舎はL字型に折れ曲がっており、その両端、校舎の南側と東側に生徒会室を構えていることに由来する。
こいつはたしか男子の表を集めて当選した男子代表みたいなものだったはずだ。ちなみに女子からは一桁票しか入らなかったとのもっぱらの噂だ。哀れ。
「で、何の校則を制定しようとしてるんだ?」
「よくぞ聞いてくれた同志よ!」
まだ聞いてないのに勝手に同志扱いされた。
「これからまた演説するからここで聴いていてくれ」
そういうとメガホンを片手にまた登校中の生徒らに向かって演説を始めた。
「今こそ我々はーこの悪しき風習から脱却し! 体操着にブルマを復活させなければならないっ!」
は? いまなんつった?
「ブルマこそが体操着の中の体操着! その洗練された至高の体操着ブルマこそ我が校の体操着に相応しい!」
大真面目に、この大馬鹿は言いのけた。
ブルマ? 復活? 至高?
状況が飲み込めない。と、後ろからドタドタと男子生徒が走ってきた。
「ぬ、抜け駆けとは卑怯だぞ! 鈴川!」
息を切らしてやってきたのは同じクラスの東条大和。黒縁の丸眼鏡がずり落ちている。品行方正、成績優秀、運動音痴、と綺麗に三拍子揃った優等生である。男にしてはやや長めの髪がワックスで無造作に纏められている。能力や生活態度に問題はなし、やや細身で長身、総二郎とは逆に女子からの票をかっさらって東生徒会会長になったのがこの男である。
「ふっふっふ……遅かったな東条! もうそろそろ電話してやろうかと思ったぞ!」
「嘘つけ! もうホームルームが始まるだろ! というか演説は明後日から開始すると約束したじゃないか!」
「全ては秘書がやったことでー。記憶にございやせんなぁあ」
「適当なことを言うな!」
何やら言い争っているが……。話を聞けそうになかったので、言い争う二人を置いて先に教室に向かうことにする。

その日は休み時間ごとに二人で言い争っていて、二人とはまともに会話できなかった。
「大原君、ちょっといいかい?」
東条が話しかけてきたのはその日の放課後だった。そこから俺と東条は東生徒会室に向かった。生徒会室には他に誰も居ないようだ。
「で、何のようだ?」
こいつとは高校一年からの付き合いだ。席が近くなったときに仲良くなって以来、時々総二郎を交えて遊んだりした。今もクラスが一緒なのでわりと良く遊ぶ。
「鈴川が動き出したのはもう知っているね?」
彼の目は真剣そのものだった。
「ブルマを……復活……とかだったような……」
にわかには信じがたい、信じたくない話なので、言葉がつまってしまう。胸が熱くなる。
「ぁあ、鈴川は何もわかっていない……」
彼の眼鏡の光の反射が鋭さを増す。俺は唾を飲むしかできなかった。
「ブルマなど、前時代的にも程がある……そう、思わないか……?」
こちらの意見を仰いでいるようだが、俺は首を縦にも横にも振ることができなかった。脂汗だけが静かに首から胸に流れ落ちる。
「これからの体操服はブルマではなくスパッツこそが王道にして至高。そう、思わないか?」
まじめだった。総二郎とはほぼ対極に位置する彼の瞳は真剣そのものだった。故にその発言レベルが総二郎と同程度ということに気づくのに数秒のタイムラグが生じたのは無理もないだろう。
「あ、阿保か!」
何を真面目な顔をしてブルマだのスパッツだの。馬鹿馬鹿しいにも程がある。
「では、君はブルマ派なんだね?」
「違う! あんなのと一緒にするな! 俺は……俺は……」
俺は……。
俺は『ジャージ派』なんだ。あのジャージの奥ゆかしさ。転んだ時にジャージを床に擦って溶けてしまったその時の表情。そしてブルマやスパッツにはないチラリズム……。その他色々。だが、こいつらのように欲望のままに声高らかにフェチニスト宣言をしては同類。
「うるさい!! 俺はお前らとは違う!違うんだよ!」
東生徒会室に叫び声が木霊した。俺は生徒会室の扉を乱暴に開き、そして走り去った。

「ということであの馬鹿の総二郎と阿保の東条を止めようと思う」
「今更ブルマやスパッツで体育ってのも嫌だし、手は組んでもいいけどさ……」
次の日、放課後の教室での相談相手に選んだのは同じクラスで総二郎と俺の幼馴染である横澤早紀。活発な性格で女子生徒からの評価が高い。髪を両サイドの中腹で縛っており、スレンダーで身長は平均よりちょっと低いぐらいである。彼女は吊り気味の目を細くして続けた。
「でも、どうやって止めるの? 東南生徒会に対抗できる手段なんてあった?」
「中央生徒会を立ち上げる」
「そういえばそんなのを聞いたことがあるような……」
中央生徒会とは、東南生徒会が暴走したときに有志によって作ることができる生徒会である。ただし、中央生徒会からは校則を作ることはできない。抑止のためだけに設立していいことになっている。一応システムとしては最初からあったらしいが、今までまとも機能したことがあったのかは微妙。言ってしまえばザルシステムだったようだが、今回はこのシステムに頼らせてもらう。現行の制度では女子が体育時に着用する衣服はジャージとなっている。つまり、ジャージ派の俺としては現状維持さえできればいい。俺がジャージ派ということはもちろん早紀ちゃんには秘密……のつもり。
「ここで有志を募って二人を妨害する。あいつらは男子票は獲得できるだろうけど、男子の票は取り合いになるし、女子票は消去法でしか集められないだろう。そこで俺たちが浮遊した女子票を集められれば、約五割の票を確保できる」
「どっちにも入れたくない女の子の票を横取りしちゃうってことね!」
早紀ちゃんの声が明るくなる。うまくいけば東南生徒会は男子票の取り合いになって自滅する。もし偏ったとしても、こちらが女子票の大多数を抑えられればこちらを超えることは敵わないはず。
「ということで、女子への手回しはよろしく頼むよ」
「任せなさい! で、宏樹はどうするの?」
「俺は明日から校門前演説でもしてみるよ。少しでも票を増やしておきたいし……男子の票も集められるかもしれない……」
「オッケー。じゃああたしも応援に行くわね。宏樹だけじゃあの二人に押されちゃいそうだし」
「ん……あ、ありがとう。助かるよ」
正直、一人で人前に立って喋る自信はないし、確かにあの二人相手だと俺一人じゃ追い出されそうだ。二人とも遠慮ってものを知らないからな……。その点、早紀ちゃんが居れば安心だ。
「ぶっちゃけ一人じゃ頼りないし」
「……ご足労オカケシマス」
そんなこんなで適当に明日以降の打ち合わせをした後、解散した。

次の日、登校する生徒もまばらな薄ら寒い秋の朝の中、俺は中央生徒会の横断幕を掲げ、たすきをかけ、校門前に立っていた。
さぶっ……。まだ秋とはいえ朝は冷える。
「おー、よう! 宏樹! ってなんだその格好」
総二郎が若干ふらふらしながらやってくる。眠たそうだ。
「お前らの野望欲望を阻止するために中央生徒会を立ち上げた」
最初はポカーンとした顔で「あー……」と言っていた総二郎だったが、ややすると「えっ! まじで!?」と目を見開いた。
「おうふっふっふふっひっひっひっ……つまりお前は今日から友と書いて好敵手、ライバルということか!?」
「いや、まず友達じゃないし」
「ふっ……そうだな! 兄弟!」
「私は一人っ子です」
「義兄弟?」
「桃の木の下でお前と杯を交わした記憶はないぞ」
「穴?」
「お前もうかえれ! つーか土にかえれよ!」
全く……総二郎はいつもこうだから困る。
「おー大原君じゃないか。どうしたんだい、こんな朝早くから……」
今度は東生徒会会長のお出ましか。
「んー? ちゅうおう……中央生徒会!? これって……これってまさか……」
「そのまさかだよ。お前らの馬鹿げた規約を通すわけにはいかない」
「大原君……君には幻滅だよ……。なぜ僕らの崇高なる体操服理念がわかってもらえないんだい? どうして僕らの邪魔をするんだい? 正直、ブルマ派の鈴川につくならまだわかる。しかし、君のその行動はなんだ? 夢も希望もないじゃないか。何が君をそこまで掻き立てるんだい!?」
東条にはジャージの良さがわからないらしい。
「お前らには説明しても一生わかんねえだろうけどな、俺にも守らなきゃならないものがあるんだよ!」
我ながら台詞だけはかっこいいと思う。
「いや、しかしだね大原く……」
「なーにをやっとるかー!」
「ぐべしっ」「うわちょおま」
二本に束ねられた髪が激しく宙を舞う。勢い込んで飛び蹴りをかましたのは早紀。蹴られて吹っ飛んだのは総二郎。そして巻き込まれてさらに総二郎の下敷きになって潰れているのが東条。
「まったく、こんなん蹴っとけばいいんよ! 言ってもわからないんだし」
相変わらずパワフルガールですね早紀ちゃんは。そのパワフルさを少しだけわけて頂きたい。
「いつつ……おい、早くどけ! 鈴川!」
「早紀め……腕……いや、足を上げたな……ふふふ……」
「何をしみじみと言っているんだ貴様は! あと、そのちょっと上手いこと言ったみたいな顔でこっちを見るな気気色悪い!」
あそこの野郎二人は折り重なって何を言い合っているのだろうか。早く立てばいいのに。
「二人とも、邪魔をするつもりなら暖陽高校選挙法違反でしょっ引くけど。何か言うことは?」
「そういえば何故君が大原君と一緒に選」
「いい蹴りだったぜ! 早紀!」
罵声と共にもう一度蹴られた総二郎の顔はどこか幸せそうだった。そして東条はもう一度総二郎の下敷きになった。

その日からは投票の日まで毎日選挙活動をした。早紀ちゃんは人脈を生かして休み時間ごとに教室をまわったりしていたようだし、俺は毎朝校門で立って演説や広報をした。やはりブルマもスパッツもはきたくないという女子生徒は多いらしく、早紀ちゃんの助力や根回しもあってか、女子のみんなはわりと好意的だった。そして、やはりというべきか男子らからはわりと批判されたが、たまに賛同者もいたようで嬉しかった。

そして規約選挙投票日当日。6時間目を潰して全校集会を開き、応援演説と会長による最終演説の後、教室にて投票される。今はまだ5時間目だが、流石に緊張してきた。
「えー、ということで点pの座標が出て……ん、なんだ鈴川」
総二郎が珍しく手を上げていた。
「具合が悪いので保健室行って来まース!」
そんな元気の良い病人がいるか。
「あー、選挙前だとお前でも緊張するのか? まぁ、よし、行って来い。一人でいけるよな?」
そんな繊細な奴ではないことは俺がよく知っている。絶対に緊張ではない! じゃあなんでだ?
「はい、大丈夫です!」
「なら気をつけて行って来い。なるべく静かにな。じゃあ授業に戻るぞー。で、えー、点pが出たら次はこの点qも……」
先生は授業に戻ってしまった。それにしても、なんだ、あいつ。サボりか?

6時間目。俺と早紀ちゃんは全校集会が始まるまではステージ横の控え室で待機していた。中央と東南で分けられているらしく、俺と早紀ちゃんの二人しかいなかった。
「あたしでも流石に全校生徒の前だとちょっと緊張するなぁ」
「あのさ、早紀ちゃん」
「うん、なにー?」
「ありがとう。今まで本当に……」
「え、い、いや、あははは、お互い様よ! それに、ありがとうは開票後に勝ってからいいなさい!」
彼女の純真さが心苦しい。だって俺も本当のところはあいつらと変わらないのだから……。
「あのさ、実は……俺……これが終ったら早紀ちゃんに話したいことがあるんだ」
騙してたんだ。実は俺、ジャージ派なんだ……。彼女にだけはこの事を言わないといけないような気がした。
「「お待たせ致しました。これより規約選挙演説会を行います。」」
開会の放送が入る。もうそろそろ出番だ。
「わかった……じゃあ全部終わったら! ……ね?」
「うん」
「「では、まず南生徒会の……え? あー…………はい……。失礼しました。では中央生徒会の応援演説からよろしくお願い致します」」
「……? 南生徒会で何かあった?」
「総二郎の奴がまだ保健室から戻ってないのかも……」
「へー珍しい。馬鹿でも風邪引く時は引くんだ」
「確かに珍しい……」
でも、あれは仮病じゃなくて、本当に具合が悪かったってことか……。疑って悪かったなぁ。あいつには後でジュースでも奢ってやろう。
「そんじゃ、行って来ます!」
「うん、がんばって」
俺は親指を上に立てて笑って見送った。彼女も親指を立てて笑って返してくれた。

「中央生徒会副会長、横澤早紀です」
控え室に居ても声は聞こえるけど、前からは見ることができず、彼女を真横からしか見守ることができない。
「今回の体操着の改変に反対するために、私は大原会長の補佐及び、応援者として演説させてもらいます」
だけどその凛々しい横顔は他の誰よりもカッコよく見えた。まぁ本人にカッコいいって言ったら怒られるだろうけど。
「まず、私を含め、大部分の女子生徒は改変を望んでいないと思われます。体育時にブルマ、ましてやスパッツを強制するなんていうことは馬鹿げています。しかし、これだけでは個人的な感情にしか過ぎません。なので、私が個人的に聞いて回りました。その結果、体操着改変の賛同者は得られませんでした。個人的にとは言いましたが、様々なルートを経由して全校の女子生徒の半分ぐらいの人は改変を望んでいないと思われます。それに新たに体操着を調達するとなると、金銭的にも負担が生じます。現状のままでいいのにそんな余計な所で負担を増やしていいとは思えません。もし、私に賛同してくださるなら大原会長へ清き一票をお願いします」
拍手喝采。ステージからちょっとのぞいた感じだと、特に女子生徒からの拍手が大きかったように思えた。人望あるなぁ。
「「ありがとうございました。次は中央生徒会会長から演説をお願い致します」」
壇上に向かい、早紀ちゃんとすれ違う時「お疲れ」と言ったら「頑張り!」と返ってきた。壇上のマイクの前に立つ。うう……全校生徒の前だと緊張するな……。
「中央生徒会会長。大原宏樹です」
手から汗が溢れる。とりあえず今まで練習してきたんだ。あとはやるしかない。
「体育時にはブルマ又はスパッツを強制する。そんな横暴な話があっていいわけがないと思い僕は中央生徒会を立ち上げることにしました。自分ひとりだけだった場合はきっと上手く運営できなかったと思います。これもひとえに横澤さんを初めとする多くの協力者の皆様方のご指導とお力添えのおかげと深く感謝申し上げます」
ちらっと横を見ると早紀ちゃんが口ぱくで「がんばれ~」といっているような気がした。
「僕がやりたいことは生徒会の理不尽な非道を阻止することです。僕が中央生徒会を立ち上げなければ体操着はブルマかスパッツかの二択しか選択肢がありませんでした。この投票の結果によっては僕が中央生徒会を立ち上げたことは無意味になるかもしれません。ですが、僕は東南生徒会の権力の暴走を黙ってみてるわけにはいきませんでした。もし、体操着の改変に反対の人がいればよろしくお願い致します。ご清聴ありがとうございました」
早紀ちゃんほどではないにしろわりと拍手をもらえたから悪い反応ではないようだ。実はジャージが好きです! とは流石に全校生徒の前では言えなかった。そんな俺をチキンと罵るなら罵ればいい。
「ありがとうございました。次に南生徒会から応援演説をお願い致します」
戻ると一気に気が抜けた。なれないことをするもんじゃないな。
「お疲れ~……え?」
「どうしたの早紀ちゃん」
「なんで東条が立ってるの!?」
「え、あいつは東生徒会じゃ……」
ステージからのぞくとマイクの前では東条が喋っていた。そういえば総二郎は相変わらず校門前で演説をしていたが、東条はあれ以来広報発動をしているところは見かけなかった。まさか、ブルマ派に統合したのだろうか。もしそうなら票が割れない。
しかし、いまさら焦ったところでどうしようもない。もう自分の番は終わってしまったのだからあとはもう見守るしかない。
「……など、運動のしやすさなども考えられており、ブルマは極めて機能的な衣服だと言えます」
わりとまともっぽいことを言っているようだが、それだけじゃ女子の票は揺るがないと思う。
「ところで皆さんは今、原宿や青山では男の間にスカートが流行っているのは知っていますか? お洒落の最先端とも言える場所でなぜか急にスカートが流行っている事実。つまり、世間の評判、評価というものは常に変わる。ブルマが今後流行らないとも言えません!」
関連性のないことをさも関係があるかのように……。
「実際、マスメディアが取り上げていないだけでブルマは流行りつつあるという見方が定説になりつつある。僕は我が校の生徒を時代遅れの制度に取り残したくない一心でこの改正に踏み切りました」
情報ソースがない。信憑するに値しない。あと、お前はスパッツ派だろうが!
「ジャージなどという古い固定概念に囚われていては我々は時代に取り残される一方だと思われます」
いや、ブルマが古いんだよ。逆だよ。逆。
「ブルマが認められない限り、我が校は進歩しえない! よって僕は体操服にはブルマを推奨します! 以上です。ご清聴ありがとうございました」
そして拍手。おいおい女子までわりと拍手してるぞ。やばいかもしれない。
「これ、詭弁の見抜き方……か……」
「何それ?」
「いや、そういった詭弁をまとめたものがネット上にあるんだけど、それを逆に利用してくるとはなぁ……」
まずい。何がまずいってこっちはもう演説が終わってしまってるし、この演説が終わったらもう生徒会からは生徒に介入できない。詭弁を詭弁と見抜ける人はいいが、素直な人には信憑性のある言葉に聞こえてブルマ派に流れる危険性がある。まさか、あいつらわざと先に演説させたのか。
「「ありがとうございました。次は南生徒会会長から演説をお願い致します」」
大またで歩いて来た総二郎が置くタイプのマイクを持ち上げた。ある男子生徒らからは「鈴川ぁあ!」と掛け声がかけられた。大した人気だな。
「俺がいいたいことはただ一つ! ブルマがいいと思う奴は俺に入れろ! 以上! センキュ!」
ドン!とマイクを置くと男子どもは立ち上がって拍手喝采。「うおー」と叫んでいる奴もいる。一方女子生徒は大半がきょとんとしていて頭の上にはクエスチョンマーク。拍手もまばらだ。
「「あ、ありがとうございました。えーと、東生徒会は辞退ということで、これにて規約選挙演説会を閉会いたします。生徒の皆さんは先生がたから指示があるまでその場で待機していてください……」」
こうして俺たちの規約選挙は終った。

開票日当日。
「おい、東条、何故ブルマ側についた」
こいつが普通に規約選挙に出てれば、こっちの圧勝だったはずなのに……。
「スパッツだけでは分が悪いと判断して、ブルマ側につくことにしただけさ!」
眉毛をVの字にして威風堂々キリッとして言った。
「総二郎の仮病はお前の入れ知恵か?」
「ふふ、まあね。先に演説することになったら博打もできなかったから彼にはストレス性の腹痛に襲われたふりをしてもらったよ」
勉強だけじゃなく、こういう知恵もよく回る。投票結果は僅差で負け。くやしいが、まぁもう終わったことだ。結果は甘んじて受け入れよう。そう思った。規約選挙後の初体育までは……。

「どうしてこうなった……」
規約選挙後の初体育。煌く太陽、瑞々しい女性陣の太股、そして紺色のブルマ。
「うっかりなんだぜ☆」
総二郎が憎い。あいつの輝く白い歯とさわやかな笑顔が俺の神経を逆撫でする。
あの野郎は公約をこう掲げていた。
――我が校の生徒は例外無く体育時にはブルマを着用することとする――
野郎どものすね毛だらけの足、足、足。生足! 総二郎が『女子生徒』とするところを『生徒』と表記してしまったが故の過ち。そう、体操着ブルマ化は女子限定ではなかった。野郎どもとて例外なく紺のブルマをはくことになった。はっきり言ってキモイ。まずすね毛が気持ち悪い。生足がきもい。股間の部分は無駄にブーメランパンツをはいた時のように盛り上がり、さらにきもさを増大させている。さらにそんなのが集団で存在するのだ。きもさ人数倍どころの騒ぎではない。きもさ人数乗、累乗だ。そしてとどめは自分もそんなきもいブルママンの一人という事実。
「やっぱり体育といったらブルマだよな!」
「死ね……。百万回死んで百万回生き返って百万と一回目で死ね」
総二郎に呪いの言葉をぶつけても俺のジャージは返ってこない。でも言わざるを得なかった。
「まぁそう怒るな大原君! ブルマも慣れれば案外快適だぞ!」
まるで「昔から体育の時はブルマでした」みたいな顔で軽やかにステップを踏むブルマ東条。ついでに足も踏んでやる。
「うおぉおおっ! あべしっ!」「ぐえっ」
盛大にこけた東条とそれに巻き込まれた総二郎の両方を交互に踏みつける。二度と笑ったり泣いたりできなくしてやるにはどうすればいいのだろうか。わりと真剣に悩む。
「おーい! 宏樹ーん、と馬鹿と眼鏡。だいじょーぶ?」
体育の合間に早紀ちゃんがこちらの様子を見に来てくれたようだ。スレンダーな体系も相まってすらりと伸びた足がブルマによって強調されて一種の芸術と言っても過言ではないかもしれないけどけどやっぱり過言のような気がしないでもないけど、ブルマさんの仕事の良さに感服した。ブルマさん、グッジョブです。
「……ブルマも……いいかもしれない……」
感動のあまり、思わずそんな言葉が出た。
「お前もなかなかわかってきたじゃないか」
「ウエルカム、歓迎するよ大原君」
今ならこの馬鹿どもと一緒に肩を抱き合い、笑いあえる、そんな気がする。秋ももう秋刀魚が旬を過ぎたあたりの季節だった。俺は少し寂しい感じの秋の空をブルマと共に仰いだ。
「それにしても、ぶっ……そのブルマ……宏樹も総二郎も東条も……やっぱり気持ち悪っくっぐっ……あっはっはっはっは。いや、もう駄目我慢できないぃいひっひっひっひ。だって何それダサすぎっひっはっはっはっは」
俺はやっぱり馬鹿阿保二人を殴った。彼女はそれからしばらく可笑しそうに笑っていた。


「で、あたしに話って何?」
その日の放課後、早紀ちゃんに本当の動機を話した。
「え、何ジャージフェチ!? あっはっはっはマニアックぅう。普通露出が多い方がいいと思うものじゃないの?」
「ん、まぁ、少数派だとはおもうけど……わからない」
「あーそう、へー別に理由なんて気にしないけどねあたしは」
「そ、そう?」
 気にしないならそれに越したことはないけど。
「その代わり、今度私が困ったら手伝ってもらうから。それでチャラね」
「了解しました」
 はぁ、よかった。怒られる可能性も考えただけに、本当によかった。
「へぇ……それにしてもジャージねぇ……」
 早紀ちゃんのつぶやき声が聞こえたような気がしたが、内容はよく聞きとれなかった。

季節は巡り、年も明け、もうそろそろ期末試験かという時期。俺は総二郎と一緒に歩きながら登校してた。
「宏樹、これから一番近いイベントと言えばなんだ?」
「……節分」
「ちっがーう! あんな豆撒くだけの行事の何が大事なんだ! お前はハトか!」
「エイプリルフール」
「おい、馬鹿野郎! 四月馬鹿野郎! 飛びすぎだ! もっと前!」
「じゃあ春休み」
「バレンタインだっ! バ レ ン タ イ ン デ エ !」
 語彙を荒げる総二郎を無視し、黙々と歩く。勿論バレンタンデーには薄々気づいていたが、面倒な話になりそうだったのでスルーしようとしたのになぁ。
「で、だから何なんだよ。お前には関係ないだろ」
いまさら補足する必要もなさそうだが、この男、そういった桃色なイベントとは全くもって縁が無い。
「ああ、そうだよ! 俺には関係ねーよ! でもな、だからといってうちの島でチョコが渡されるのを指を咥え、よだれを垂らしながら見ているというのも癪だ!」
 目を血走らせ、手をワキワキさせながら憤る総二郎を誰か止めて下さい。
「ということで、今年のバレンタインデーは廃止する」
「は?」
「当日はチョコ持ち込み禁っ止!」
「あー……」
 学校内での受け渡しだけでも阻止するとそういうことか。正直、どうでもいい。
「ちょおおおおおっと待ったぁああああああっっ……っはぁはぁ……」
 勢い込んで登場してきたのは、息を切らせ顔を真っ赤に染めた東条。東生徒会生徒会長。
「いま、チョコとか禁止とか聞こえてきたが、バレンタインか! バレンタイン禁止なのか!?」
 息もまだあがりっぱなしのまま、総二郎の胸元を前後に揺さぶる東条。何をそんなに必死になっているのだろうか。
「ぼ、僕は認めん! 認めんぞ!」
「ふん……てめえはいいよな貰えるから。でもどうするよ。中央生徒会ででも頑張るのか? 東条さんよお!」
「いや、そうだ、なら僕は逆に全員もってくるのを義務にしてやる! いいか! 絶対に阻止してやるからな!」
 早口に捲くし立てまたダッシュで去っていく……と思いきや数十メートル先でもうばてている。と、総二郎が気持ち悪い不敵な笑い声を発し始めた。自重していただきたい。
「それでこそわが宿敵よ東条。……にっひっひっひ……ついにあのリア充に鉄槌を下すときが来たようだな……」
 宿敵とか言いながら前回共闘してたのはなんだったんだろうか。
「で、お前はまた中央生徒会でもやんのか?」
「いや、今回は別にどうでもいい」
 どっちになっても正直言ってどうでもいい。渡したい奴は学校じゃなくてもとは思うし、チョコを持ってくるのが義務となったところで、十円のチロルチョコでも持ってくればそれでいいだろう。
「ま、適当に頑張ってくれ」
「なんだよ面白くないやつだな」
 俺ははやし立てる総二郎を無視して校舎に入って行った。

「バレンタインが今回の議題になるって聞いたんだけど本当!?」
 休み時間中、早紀ちゃんが俺に勢い良く訊ねてきた。
「うーん、多分。総二郎がチョコ廃止派で東条がチョコ義務派とでも言ったらいいかな。でも、正直そんなのどうでも」
「駄目よ」
「え?」
思わぬところで言葉を遮られた。何がそんなに不満なのだろうか。
「あたし、中央生徒会を立ち上げるから!」
「えー別に放っておいていいんじゃない?」
 また選挙活動するのは面倒くさいでしょう。
「あたしの友達に当日本命チョコ渡そうって子がいるの!」
「それで?」
「本命チョコなのにみんなの前で確認されるのは可愛そうだし、かといって学校以外で渡す機会なんてそうそうないでしょ?」
「うーん……」
 そんなもんなのかなぁ……。まぁたしかにあの二人は余計なことをしているとは思うけど……。
「だから、どっちにもあんまり変なことさせたくないの!」
「うーん。なるほどねぇ。まぁそういうことなら中央生徒会の運営手伝うよ?」
「え、いいの?」
「前回手伝ってもらったしね。俺でよければ力になるよ」
 前回、自分一人の力で最後までできたとは思えないし、こういうときは誰か同志が居たほうが心強いというのは中央生徒会を運営したとき感じたことだ。今、その恩を返してもいいだろう。困ったら助けるって約束したしね。
「ありがと!」
 彼女はにっと笑う。
「じゃあ明日から一緒に選挙活動よろしく!」
「了解」
その日はそれで解散となった。

翌日早朝校門前。流石に一月下旬ともなると寒い。寒い。俺はカイロを両手に一つずつ持ち、寒さを凌ぎながら早紀ちゃんを待つ。と、遠くから明るい女の子の声が聞こえてくる。
「おまたせ! 寒いねぇ」
「うん、朝早いから余計に寒い」
「でも、寒い寒い言ってても仕方ないから頑張りますかっ」
と、着ていたダウンコートを脱ぐと下は学校のジャージの上下。
「ジャージじゃ寒くない?」
本人は平気そうだけど見るからに寒そうな格好だ。
「動くから平気平気! それに制服着たまま汗かきたくないし」
 汗をかくまえに凍えてしまうような気がする。
「これ、カイロ一個あげるよ。動くとしても序盤は寒いと思うし」
「あ、本当? ありがと」
 やはり少し顔色が悪いような気がする。やっぱりジャージだと寒いんじゃないかなぁ。うーん。
「さぁてはりきって選挙活動やっていこう!」
「おー」
 そうして早紀ちゃんと俺の選挙活動が始まった。動いたり声だししてるとそれなりに温かくなってくるものの、それでも早紀ちゃんは寒そうに見えた。
「おいー! やっぱり中央でやってるじゃねえか!」
選挙活動をしていると総二郎が来た。寝癖が直っておらず、髪の毛が縦横無尽に飛び跳ねている。
「今回は俺は会長じゃない」
「しらねえよ! 俺から見たら一緒だ!」
 まぁ敵なんてそんなもんかね。
「で、なんで早紀はそんな寒い格好でやってんだ?」
 お、総二郎にしては珍しくまともな発言だ。本当に珍しい。
「制服で汗かいたら嫌でしょ!」
「この気温であー……はぁん、ちょっとこっちこい早紀」
「何よ」
「いいからちょちょっと」
「……」
二人で少し離れたところへ行ってしまった。そちらを気にしつつもその間、俺は選挙活動に勤しむ。
「お…え……き…………き…んだろ?」
「はぁ!? なんでそうなるわけ!?」
「はっ! 図星だろ! おい! ば、おま、やめ」
早紀ちゃんは右足を引く、と「アホかーっ!」の声と共に上段回し蹴りが総二郎に炸裂した。続けて腹に蹴り込み、手前によろけたところに前蹴り、そして最後にとどめのかかと落とし。ジャージなので足技でやりたい放題だ。もしかしてこういう事態を予測してのジャージだったのだろうか。流石だ。
「はぁ……はぁ……あのバカはこれだから……」
 顔が紅潮するぐらい温かくなったらしい。たしかにジャージでも大丈夫なような。
「おーい、総二郎―生きてるかー?」
返事が無いただの屍のようだ。
「ふぅ……いい蹴りだったぜ……」
 訂正、マゾヒズムな死体が現れた。
「お前また馬鹿な事言って早紀ちゃん怒らせたのか」
「いや、俺は至極真っ当な事実確認をしただけでだな……」
「次バカなこと言ったらリアル、ボール、クラーッシュ」
「と思ったが俺の勘違いだったぜ。じゃあ俺も選挙活動するんだぜ」
 と言って、カクカクしながら校舎に入って行った。
「はぁ……まったく……」
「大丈夫? 早紀ちゃん」
 攻撃してたのは早紀ちゃんなのに随分と滅入っているような……。
「ぁあ、うん、大丈夫。もし総二郎に何か変なこと言われても気にしないで」
「あいつの言うことなんか真に受けないよ。はっはっは」
「まぁ、だよね。あっはっは」
 暫く選挙活動も忘れて総二郎談義に花を咲かせた。
「やぁ横沢さんに大原君。また中央生徒会を立ち上げたんだってね」
 と今度は東条が現れた。総二郎が居ないと普通に見えるから不思議だ。
「で、何の用? こっちは忙しいんだけど」
「いや、ただの視察だよ。別にどうこうしようとか、どうこうするとか、どうにかしようとか、そんなやましい気持ちはないよ。全然無いよ」
 訂正、やはり何か変な奴だ。遠めで見てる分には優等生なのになぁこいつ。
「ただ、僕は君らと戦う運命にあるのかもしれないな……運命……ディスティニー……ぶつぶつ……ふふ……ふふふふふ……」
 何か自分の世界にトリップしてしまわれたようだ。こういうのはそっとしておきたい。
「気持ち悪いからあっちいけ! 邪魔!」
ぁあ、早紀ちゃんそんな刺激しないで下さいよ。
「そう、それだよ、その反応が欲しかったんだ……ぶつぶつ」
 そうつぶやきながら去って行った。もしかして総二郎が居るときのほうがまともなんじゃないだろうか。でも、今日はいつにも増して変だった気が……。いったいどうしたんだ? ……あいつ。

前のように選挙活動をしているとあっという間に月日は流れ……。
「早紀ちゃん、応援演説で俺、何言えばいい……?」
そんなこんなで選挙前日。俺は放課後早紀ちゃんに相談をしていた。正直な話、選挙を補佐するにあたってあまり動機が明白ではないので、演説するにも自分だけで考えるのは微妙だ。せめて早紀ちゃんの意見を取り入れて考えないとうまくいかないだろう。と考えたわけで。
「それなら多分応援演説はないはずよ。無理やり帰りのホームルームの時間枠でやるから」
「あ、そうなんだ」
応援ができないのは残念なような安心したような複雑な気持ちだ。せめて演説内容だけでも貢献できるようにと、夕方まで残って二人で演説内容を考えた。

そして選挙当日。
「「では、これより規約選挙演説会を行います。なお、今回は演説の時間があまりないので、応援演説は省略させて頂きます。では、まず中央生徒会会長からよろしくおねがいいたします」」
ついに開会してしまった。俺は早紀ちゃんの無事を祈るのみだ。
「頑張って」
「まっかせなさい!」
 お互いに親指を立てにっと笑い合う。そして壇上のマイクの前に向かって行った。彼女ならきっと大丈夫だとそう思う。
「中央生徒会会長、横澤早紀です」
 流石は早紀ちゃんだ、落ち着いている。
「私が立候補した理由はバレンタインに変な制約をつけてもらいたくかったからに他なりません。もし、もってきてはいけないということになれば、数少ない告白の機会を逃してしまうかもしれませんし、逆にもってくるのが強制になってしまうと、本当に好きな人へ告白する場合、印象が弱くなる可能性があります。これはどちらになっても不幸なことだと思われます。つまり、バレンタインに変にてこ入れした場合、誰も幸せになれないと思います。もし、私の意見に同意してくれるのであれば、清き一票の方をよろしくお願いいたします」
 拍手。わりと賛同者はいるようだ。それもそうか、今回はどちらの意見も極端過ぎる上に融通か効かない。それなら現状維持でいいと考える人は多そうだ。
「お疲れ様」
「ふぅ……やることはやったわ。これで駄目だったらあの子も諦めがつくと思うし」
あの子っていうのは友達の子のことかな。
「「ありがとうございました。次は南生徒会会長から演説をお願い致します」」
総二郎が壇上に上がる。と、やはりマイクを持ち上げて半ば叫ぶようにはじめた。
「お前らぁああああああっ! バレンタインが憎いかぁああああっ!?」
「「「ぅおおおおおお!」」」
「チョコが憎いかぁああああああっ!」
「「「ぅおおおおおおお!!」」」
「バレンタインをっ!?」
「「「ぶっつぶせぇええ!!」」」
観客……じゃない、有権者とかけ合ってる。なんかもうそれ演説じゃないだろ。ライブ会場のノリだろそれ。しかもヘビメタとかそんな感じの。
「ということで、バレンタインが憎い奴は俺に入れろ。以上だっ!」
 ダンっとマイクを置くと両腕を掲げてカッコイイポーズ。そして相変わらず一部の男子以外からはまばらな拍手。そのまま上の方を向いたままゆっくりと退場。
「ごぶっ」
上を向いて歩いていたので、壇上から戻るときマイクコードを足にひっかけて盛大にこけた。流石本場の馬鹿は馬鹿の格が違った。
「「ありがとうございました。次は東生徒会会長から演説をお願い致します」」
壇上に登場が上がる。さて、今回はどうくるのか。
「東生徒会会長、東条大和です。僕はより多くの機会を皆様に与えるべくして、チョコを渡すことを義務化するということを推奨してきました。というのも単純な話で、全員がチョコを持ってくるという前提ならば、まず、チョコをもってくるのを躊躇う必要がありません。そこで、持ってくるかどうするか迷うということはなくなります。そしてもってきて、渡さなくてはならないので、必然的に渡しやすくなります。そして次に、男から女の子への逆チョコの可能性が増えます」
 有権者らの方から「おー」やら「ほぅ」という感嘆の声が聞こえてきた。
「つまり、バレンタインでもあるにも関わらず、男子から女子へ告白が行われたとしても不自然ではない状況をつくりだし、それによって告白できる機会を増やそうとそう考えているわけです。これは全員が幸せになれるとは思いませんが、恋人ができる可能性はあがるのではないでしょうか。と私は考えました。私の意見に賛成な方はどうか清き一票をお願いいたします!」
 拍手。なかなかに……どうだろうなぁ。
「「ありがとうございました。これにて規約選挙演説会を閉会いたします。生徒の皆さんは先生がたから指示があるまでその場で待機していてください……」」
こうして俺たちの二回目の規約選挙は終った。

開票日当日。
「まぁ当然の結果だね」
東条の眼鏡が光る。結果はぎりぎり過半数の票を集めた東条の勝利。俺たちは4割弱ぐらいしか集めることができなかった。逆チョコ恐るべし。あとは、東条が女子生徒にある程度の人気があるからだろうか……。
「畜生……ちくしょぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ! リア充なんか死滅すればいいんだぁあああああっ! バレンタインデー消滅しろ爆発しろ中止になれぁあああああっ!」
いい加減こいつは諦めろよ……。そもそも他人の幸せを奪うようなことをしようとしたお前が悪い。
 そしてあとは数日後のバレンタインを待つのみとなった。


「よーし、ホームルームを始めるぞ」
 二月十四日バレンタイン当日。教室の中は静かに張り詰めた空気が漂っていた。このそわそわした空気は未だに慣れない。
「今日は規約選挙でチョコを持ってくることになっているんだったか?」
 教室の空気がより一層張り詰めたように思えた。
「だが、学校側としても堂々と不要物を持ってこられて看過するほど甘くはできん。ということで今回臨時で持ち物検査を行う。全員鞄の中の物を机の上に置くように」
 生徒らは爆発した。
「ぐああっ!! しまったああああああっ! 不要物に関しての校則を失念していたあああああああ……゛あばばばばば……」
 とは東条の弁。あんなに頑張って勝ち取った勝利だというのに……可愛そう、いや残念な子だ。勝負に勝って試合に負けたとはまさにこのことだろう。一方総二郎はというと
「ざまあああああああああああああ! 俺様大勝利ぃいいいいいいい! ぷぎゅああああ! うるぃいいいいいい!」
 机に足をかけて日本語のような言語で吼えている。馬鹿丸出しだ。まぁ結果的にこいつの勝ちということだなこの結果だと。

 持ち物検査が終わり、全てが終った。と思っていると早紀ちゃんがおもむろに俺らに近づいてきてこう言った。
「取られた……」
 え……?
「みんなの分持ってきたのに……全部取られた……」
 何が……?
「友達の分とあとあんたらの分のチョコ」
 違った。総二郎は勝ってなんかいなかった。勝者なんていなかった。バレンタインについて選挙をした時点で二人とも負けてたんだ。馬鹿は目が点になってるし、アホは瞳孔がひくひくしている。俺もあまりの出来事にショックを隠せない。
「争いはなにも生まないな……」
「ふ……そうだな……」
 生徒会長二人の背中がやけに煤けて見えた。

 それから家に帰り、ごろごろしているとふと携帯が鳴った。そのメールの件名には『玄関』とだけあった。俺は玄関へ急いだ。

「な、なに?」
 急いで玄関まで行くと、白いダウンコートを着た早紀ちゃんがいた。
「はい、これ」
 と手渡されたのは小さな小包。茶色い包装紙と赤いリボンで丁寧に包装されている。
「え? なにこれ?」
「チョコだけど?」
「え、いや、没収されたんじゃないの?」
 持ち物検査でチョコは全滅したはずだ。いまここにあるのはおかしいと思うのは当然だろう。
「あ、いや、その、これはそういうのじゃなくて、あの、お礼だから」
「お礼?」
「ほら、選挙手伝ってくれたから」
「ぁあ……」
「そのお礼だから……ね。バレンタインとか関係ないから」
なるほど、バレンタインとは別に用意していたからここにあったのか。
「ありがとう、大事に食べるよ」
 意味合いはちょっと違うがバレンタインにチョコをもらったという事実には変わりない。
「あ、でも、今日はバレンタインだから」
「うん」
「ちゃんとホワイトデーにお礼しなさいよ」
 え? 矛盾。いますごい矛盾を感じた。
「いや、だってさっき関係ないって!」
「いいの! 何でもいいからお礼しなさい! わかった!?」
「あ、うん、はい、わかりました」
 すごい剣幕というかなんというか、うんと言わないといけない気にさせる。そんな勢いがあった。
「うん、よろしいっ。それじゃあね」
 そう満足げに笑うと彼女は走って去っていってしまった。
「ホワイトデーねぇ……」
 そのチョコを一粒口に放り込むと、口の中に広がる芳醇なカカオの香り、とまるで石でも齧ったかのような食感……がっ!
「何これ硬っ……!」
 箱を裏返してみると『ゴディバ』の文字。既製品だよねぇ……? 俺は首を捻りながらも良いチョコというものはそういうものなのかとチョコが溶けるまで口の中で転がし続けた。




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