ぽてばす!

無能


@PotemkinBuster からのツイート

これがぼくのじゅんぶんがくですがなにか?

ふぅ……小説書き終わった……。

マジな話、俺は前日の23時まで何にも書いてなかった。
そっから10時間かけてなんとかでっちあげたラノベもどきを
提出するまえにうpしてしまおうというなんという大胆な企画。

きゃーpbさんステキー。

まて、今すっげ眠いんだよ。
こちとら九時半に寝て13時に起きて印刷いっていま授業中なんだよバーロー。

あーもう、このけんきゅーかいで
お化け・悪魔・超能力
の三大中ニ病的設定書いたからもう自己満足的に言えばかなり満足です^p^

うへへww
天使成分が足りない。

10時間で11500文字ってどうなんかな。遅いのかな。
もう勢いでなんとかしたけど。

地味に一部のイベントに作ろうとしているエロゲの話をぶっこんで適当につじつま合わせすることができたから、早かったという説もある。
……若干強引な展開なのはpbさんだから仕方ないよねっ!
だってpbさんだもの。

あーまだ他の授業の課題あんだよなー。
だるい~。

じゃ、苦情は受け付けないから↓

 僕のESP的日常


いじめっこが頬を抑えてうずくまる。おかしいなぁ。そんなに力は入れてないはずなんだけど。

ESPという言葉をご存知だろうか。Extra-sensory perceptionの略式名称で、超能力全般を指す言葉だ。
二十年ほど前にはESP保持者は僕の住んでいる日本には数人程度しかいなかったらしいが、現在、日本のESP保持者は5000人を突破しており、特にここ二、三年で急増している。
ESPの発現条件は未だ発見されておらず、ESP保持者の血液中には、どの臓器で生成されているかも特定できていないESP体と呼ばれる超微粒物質が流れていることは確認されているが、用途は不明。現時点では隠れESP保持者を発見するための血液検査にしか利用できていない。
能力の種類も多種多様で、昔のようにやれスプーンが曲がるだの、やれ透視ができるだの、そんなちゃちな能力ではなく、手のひらから稲妻が出たり、数メートル先に瞬間移動したりと、科学者が頭を悩ますような事象を引き起こすような能力保持者であふれている。
そんなESPが溢れる世の中に変化していくにつれて、ESP保持者は何かと制限が多くなっていった。基本的に公式のスポーツ大会には参加できないし、職種によっては就職できないこともある。ESPを悪用する者も少なくなかったのも原因だろう。一般人とESP保持者の間には軋轢が生じていき、ついに政府はESP保持者の保護の名目でESP保持者の半隔離政策に踏み切った。
幸いにしてESPは発現して数年で消えるらしいという研究結果もあるので、そこまで悲観的にならなくてもいいが、とりあえず僕のような学生はそのESP保持者を集めた校舎に隔離されることになる。
と言っても、まぁ僕には関係のない話で、何処か遠くの国の話かどこかの三流SF小説みたいだなと思っていたけど、今日僕はこのESP第二高校に編入した。

僕は昔からいじめられっこ……とはまではいかないが、まぁ冗談でからかわれたり、いじられることが多い奴だった。
僕の反応が面白いのか、よくわからないが、何かにかけてかまってくる同級生を適当にあしらうのはそこまで嫌ではなかったが、時たま過剰に絡んでくる輩がいた。
そいつは他の奴もいじめたりいじったりするうざったい奴だったが、あまりにもちょっかいがうっとうしく感じられたので、ある日「いい加減にしろ」と怒鳴ってやったら、「なら殴ってみろよ、こいよ」などと仁王立ちで笑いながらのたまった。
普段のよくあるちょっかいぐらいなら、そんなことを言われても殴ったりはしなかったんだろうが、そいつの周りからの評判、僕への精神的負荷の合計、僕自身の機嫌、及びそいつの態度を加味して考えた結果、殴らずにはいられなかった。
人を初めて殴った時の感触は随分と頬は硬いんだなという感想と共に、そこまで強く殴っていないはずなのに、頬を押さえてうずくまるいじめっこが妙に遠く感じられた。
そんなに強くは殴っていないはずだと思ったのだが、想像以上にいじめっこが悶えるものだから、僕は恐くなって保健室の先生を呼びに行った。
先生と戻ってそいつの頬を見たら、そいつの頬は赤く、それでいて硬く凍っていた。

先生に報告により、僕がESP保持者だとわかると、血液検査で確認を取った後、すぐにESP第二高校へ転校と相成った。
ちなみにそのいじめっこは先生の治療の甲斐もあり、軽度の凍傷で済んだようだ。まぁよかった。

そんなこんなで転校初日。
新しい教科書などは国からの補助金で買ってもらい、慣れない学ランに身を包み、新しい教室で転入生としての挨拶を済ませ、なんとか無事に一日を切り抜けて寮に帰ろうとしたとき、後ろから声をかけられた。
振り返ると、白と紺のセーラー服に身を包んだ女性が立っていた。
胸のリボンが赤いので、一年生のリボンの色である青ではないので、二年生か三年生だろう。茶色がかった黒のセミロングを後ろでポニーテールにし、前髪はやや揃い気味。自分よりも半分頭下にある眼鏡の奥に見える眼は若干釣っているように見える。
「あなたは冷たい人ですか~?」
脈略無くそう聞いてきた。
一応僕はこれでも一応は温厚な奴ということで通ってきてたし、人との付き合いも悪くはなかったと思うのだけど……。僕が怪訝な顔をしていたせいか、質問を変えられた。
「えーと……転校してきた凍らせる能力の人ですか~?」
ぁあ、そっちか。なんだろう、今ひとつ自分のESPを自覚していないせいか、いまいち実感がわかない。とりあえず頷く。
「あはー良かったです~見つかって~」
両手を合わせて微笑むのはいいが、いきなり転校生に何の用なのだろうか。流石に先輩にいきなり目をつけられたとかではないと思いたいのだが。
「実はですね、折り入って頼みがあるのですが~」
綺麗な薔薇には棘があるように、笑顔の裏には罠がある。みんなも気をつけるように。確実に面倒ごとである。
「風紀委員に入っていただけませんか?」
風紀委員とは、学校の風紀を乱す有象無象の輩を成敗し、学校の平穏と安全と秩序を守るべく作られた正義のおままごと委員会なのであり、このさまざまなESP保持者がごっちゃまぜかつ思春期ゆえに暴走しがちなか弱いオツムを有する者が多いという点を踏まえると、入ったら最期、異能力バトル漫画も真っ青なはちゃめちゃ展開が幕を開ける地雷委員と言っても差し支えないだろう。
さらに僕はまだ右も左も分からない編入一日目の新米。いきなりそんな大それた組織に入ってしまうほどの元気も無謀さもないし、正義感も人並み程度しかない。
「お断りします。他をあたってください」
そう言って立ち去る。これがベストだろう。いくら相手が可愛くても、幸せを呼び込む100万円の壺とか幸せになる250万円の絵画とかは買っちゃいけないと思うのが常人だろう。ぁあ、素晴らしいかなNOと言える日本人。
「あなたじゃないと駄目なんです」
去ろうとした所で腕を引っ張られる。僕じゃないと駄目? ホワイ? 何故? どうして? 物語冒頭でいきなり「お前は選ばれし勇者だから魔王倒してこい」並のわけのわからない理不尽さに理由を求めるのは当然の流れだろう。
「それは……その……えーと、アイスコーヒーが飲みたいからです!」
駄目だこの人ニッポンゴ通じないネー。コーヒーぐらい自分で冷やせるだろ。さぁ手を振りほどいてさっさと帰ろう。今日の寮の晩御飯は何かなぁ。
「絶対に入ってもらいますからね~!」
後ろから聞こえてきた言葉は聞こえなかったことにしよう。初日から疲れるなぁ全く。

次の日もその次の日も先輩はことあるごとに勧誘しに来た。思わず先輩に向かって「ストーカーですか! あなたは!」とツッコミを入れてしまったが、それでもめげずに来るあたり、相当僕を風紀委員に入れたいらしい。相変わらず理由を聞いてもはぐらかされてばかりだが、何か特別に事情はありそうではある。しかし、僕としても理由もわからずにやっかいそうな委員会に入れられてはたまったものではない。理由が言えないということはある意味、理由がヤバ気な事を暗に示唆しているわけで、理由がわからない以上、いくら先輩が可愛くて可愛そうだとしても僕は風紀委員に入るわけにはいかないのだ。

この学校の中には若干大きめな書店があり、生徒はそこで本を買ったり注文したりできる。
僕には昔から好きな作家さんがいるのだが、その人の最新作が今日入荷したらしく、早速書店でその本を購入し、学校が終わり、寮に帰ってから読もうと嬉々として下校していた。
久しぶりの新作を手に入れることのできた嬉しさのあまり、紐につけた寮の鍵を子供みたいに意気揚々と振り回していたのが悪かったのだろう。鍵は学校の横の植木に綺麗な放物線を描いて飛んでいった。「あっ」と言う間に植木の中に鍵は消えていき、慌てて植木の中に四つんばいになって首を突っ込んで探してみたものの、なかなか見つからず、焦りだけが増してゆく。
「探し物はなんですか~?」
みつけにくいものですか~というフレーズが頭をよぎる。後ろから先輩の声が聞こえてきた。
「寮の鍵を探しているのですが」
芝生の中も植木の中も探したけれど見つからない。これは困った。本格的に何処かへいってしまったのかもしれない。と、奥に光物を発見したので、四つんばいでさらに奥へと進む。何やら臀部からくすぐったいような違和感があるような気がする。というか、誰か触ってますね。そうとしか思えません。後ろから「さわさわ~」とか「なかなか~」とか聞こえてくるし。とりあえず光物を握りすぐさま戻る。
「安産型ですね~」
と悪びれもせず笑顔で言うあたり、末恐ろしさを覚える。
「なにゆえ男のケツなぞを触るのですかあなたは!」
「そこにお尻があったので~」
駄目だ、やはり日本語が通じないようだ。もう、無視して鍵探しを続けよう。さっき掴んだ光物はガムの包み紙だったし。
「あれあれ~? 無視していいんですか~?」
無視だ、無視。と思いつつも気になる言い方をする先輩に耳だけは向ける。
「鍵なら見つけましたよ~? 植木に引っかかってました~」
なるほど。だからなかなか見つからなかったのか。納得。
「返して下さい」
というか実はさっきから持ってただろこの人。明らかにタイミングを見計らって言っている。
「では許してもらえますか?」
「何を?」
「お尻を触ったことですが~」
鍵が見つかったからそんなこと最早どうでもいい。早く帰って本が読みたい。
「別に気にしてませんから」
「そーですか、そーですか~」
先輩から鍵を受け取る。相変わらず眼鏡の奥はニコニコ笑っているが、何を考えているのだろうか。
「では貸し①ですね~」
……はっ? 貸し? 
「ではでは~」
と手を振って去っていくが、え、待って、貸し1って何ですか。その不吉極まりない言葉はなんなんですかぁ! 鍵を見つけてもらった代償はあまりに大きかった気がするが、あまり気にしても仕方ないので、僕は帰って本を読んで楽しむことに専念することにしよう。と、気分を切り替えて帰路についた。貸しとかなんとか言われたわりには、それから暫くは特になにも起こらず日々が過ぎていった。

後悔先に立たずということわざがあるが、まさに今の僕はそんな感じだった。
「ビニール袋を忘れなければなぁ……」
僕は玄関でぼやいていてみたが状況が変わるわけもない。天気は雨。朝の登校時刻あたりから下校時刻の今までずっと雨。きっと明日も明後日も雨だろう。それぐらい酷い雨だった。
もちろん自分も朝には折りたたみ傘を差して登校しており、ちゃんと傘は傘立てに入れておいた。折りたたみ傘なら持って教室に行けば良かったのではと思う人もいるだろうが、生憎折りたたみを入れるビニール袋は忘れて来ており、教室を傘の滴で濡らして迷惑をかけるのは避けたかったので、傘立てに折りたたみ傘を入れてきたのだが、傘を誰かに持っていかれたらしく、授業後の掃除当番を終えて帰ろうとした時には既に傘は何処にも見当たらなかった。
僕もその僕の傘を取った奴と同じ様に誰かの傘を取って帰るという選択肢も考えたが、もし運悪く本人にバレたりしたら面倒だ。単純に悪いことをして見つかるのが恐い小心者とも言える。
寮までそう遠くはないので走ってもいいのだが、今日買った本や教科書が濡れるのは避けたかった。
とりあえず売店で買おうかと思ったが、傘は売り切れ。
他に寮に帰る友達を探そうにも掃除当番の後の時間と中途半端なこともあり、なかなか見つからない。
八方塞で、雨を前に途方に暮れていた。
「雨宿りですか~?」
後ろから聞きなれた間延びした声がするような気がする。
「はぁ、まぁ、そんなところです」
「傘に入れてあげましょ~か?」
これは渡りに船! なんとなくこの展開は罠なような気もしなくはないけど、溺れた者が藁でも掴んでしまうのを誰が咎められようか。
「じゃ、じゃあお願いします」
「では傘は持ってくださいね」
桃色の生地に白の水玉の傘を手渡され、先輩は悠々と歩いていく。僕は荷物を持って先輩を追いかけた。

 男子寮は女子寮の反対側にあるのだが、先輩は男子寮まで着いてきてくれるとのことだった。初めは僕が女子寮へ行って後日傘を返すと言ったのだが、「明日も雨かもしれませんし、その傘を一人で差すのは恥ずかしいと思いますが~」とのことで、先に男子寮へよってもらうことになった。
「そういえば先輩のESPってどんな能力なんですか?」
黙って帰るのもひたすらに空気が重くなって嫌なので、とりあえず話題をふってみる。
「私ですか? まぁテレパシーの一種なのですが、そうですねぇ体感したほうが早いかもしれませんね~」
などと笑顔で勿体ぶっているが、試してみたくてうずうずしているようにしか見えない。
「では、いきますよ~……左手を上げろ!」
傘を持っていない左手が意思とは関係なく上がる。下げようとしても全然下げれない。筋肉が攣った感覚に若干似ている。先輩は「あはは、間抜けですね~」などと言って笑っているが、早くなんとかしてほしい。
「それでは戻しますか~……命令解除!」
先輩の言葉でやっと左手を下ろす。なんだこれ……。
「……まぁ、そんな感じで主なESPはマインドコントロールというかテレパシーですかね~。命令は10分ぐらいしか持ちませんが~」
などとはにかんでいるが、こっちとしては乾いた笑いしか出てこない。自我は保っていられるのに体は思い通りに動かないのが余計に恐い。
「着きましたよ~」
いつの間にか男子寮の前についていたようだ。
「ありがとうございます。助かりました」
今回は素直に礼を言う。男なのに送ってもらってしまったし。
「いえいえ~。あ、そうでした~。はい、どうぞ」
ポンと渡されたのは湿った紺色の折りたたみ傘。
「ん?」
訂正。僕の折りたたみ傘。
「な ん で あ な た が 持 っ て い る ん で す か」
あえてゆっくり言って威嚇してみても蛙の面に水だったらしく、何も応えていない様子。
「あははー。そんなの私が隠したからに決まってるじゃないですか~。怒りましたか?」
なんだろう……多分この人はこういう人なんだろうなぁ。もう諦めた。あと、笑顔が恐いから逆らいたくない。
「いや、もういいです。別に……」
純粋にもう帰りたい。その一心で言ってしまったあとに、何かデジャヴを感じる。
「じゃあ、これで貸し②ですね~」
ぁあ、なんということでしょうか。自分は一度ならず二度までも何をしているのだろうか。
「ではでは~」
とパタパタ雨の中駆けていく先輩を何処か生気の抜けたような目で見送り、見えなくなっても暫くそこに突っ立っていた。僕の阿保ぅ。

後日、クラスの友人に傘が無かったという話をしたら
「大きいビニール袋を買ってその中に鞄入れて走ればよかったんじゃない?」
と言われた時には自分の頭の回転の悪さを呪った。

二日後の放課後、まぁ予想通りというかなんというか、先輩が風紀委員の勧誘にやってきた。
「そういえば貸しが二つほどありましたね~。ここで誠意を見せて貰えると嬉しいのですが~」
などと言っているが、真に受けてはいけないだろう。でも何故か良心が痛む。
「そうですかシカトですか~。そういえば昨日の『相合傘』なんですが、クラスの子に見られてて誤魔化すのが大変でしたよ~」
相合傘のところだけ何故ににそんなに強調するのでしょうか。僕には意図が全くわかりません。
「風紀委員に入ってもらえないようなら~、ついうっかり『実はあのあと乱暴された~』などという狂言を言いかねませんね~」
状況を整理しよう。昨日先輩と同じ傘で帰った。それを先輩のクラスメイトが見ていた。乱暴されたなどと言ってしまうと、多分その見たクラスメイト子はその話を信じてしまうだろう。そして多分近い内にうちのクラスにも広まってしまい、先生にもそのうち伝わってしまって、弁解の余地なく僕は引き篭もりか僻地のESP少年院へ隔離され、この学園生活に終止符を
「わかりました。入りますよ。入ればいいんでしょ? その代わりもうそれで貸し借りなしですからね」
やはり罠であったか……孔明め……。いや、司馬懿か? どっちでもいいが、ESP能力だけじゃなく、人間としても恐ろしいことは確かだ。敵にだけは回さないようにしないと学校生活が危うい。
「いえ、貸しはまだ一つ残ってますよ~」
くっ……流石にこれで貸し借りをうやむやにすることはできないか。
「それでですね、風紀委員として風紀指導をしてもらいたい人がいまして」
「……指導したらそれで貸し借りなしですか?」
こういうことはキッチリしておかないと、後でちゃっかり「まだ貸し①ですよ~」などということになりかねない。
「ぇえ、その人を指導していただくのが目的でしたから」
いやにあっさりしているが、多分その目標を達成するために僕へ貸しを作っていたのだろう。これさえ終われば開放される。もう先輩に一喜一憂せず学園生活をキャッキャウフフとエンジョイすることができる!
「わかりました。やりましょう」
こういう人が騙されて幸せになれる壺とかを買わされちゃうんですよね。わかります。でも、もうこうする他ないのです。

午後五時半、部活をしているもの達は基礎練習を終えるころ、僕は先輩の教室の隣の教室にて待機していた。先輩曰く、
「毎週毎週、私の教室の教卓を壊しにくる不届き者をこらしめたいのですが、私の力では無理なのでお手伝いしてもらいます~」
とのことだ。「物を一定時間前の状態に戻すESPの人を一々連れてくるのが面倒なんですよ~」ともぼやいていたが、肝心の何故僕が必要かという点には触れてくれなかった。もう腹をくくるしかないわけだから教えてくれてもいいのに。それにしても何故教卓なんか壊すのだろうか。極度の教卓加虐嗜好の持ち主なのだろうか。とんだ変態だ。
「来たようです」
声を潜めて教室の廊下側の壁によりかかる。目標は隣の教室なので、気づかれる心配はほとんどないだろう。暫くすると、ここの教室に夕焼け色の光が入り込み、消える。と、隣の教室から物と物がぶつかる轟音が聞こえてくる。
「さて、行きますよ~」
危機感がないのかどうなのかわからないが、いつも通りな態度の先輩に逆に僕が不安に駆られる。もしや先輩はかなりの大物なのではないだろうか。まぁでもなんかなるのではないだろうかと楽観的に考えようとしたが、隣の教室の中を見たとき不安が確信へと変わった。ありゃなんだ。全身から炎を吹き出した人間が教室の教卓を蹴っているという光景はまさに異様とか混沌としか表現できないだろう。炎の人は何を着てるかすらさっぱりわからないぐらいに炎に包まれている。他の人のESPを見る機会は普段そこまでないので、たまにここがESP保持者の隔離施設ということを忘れるのだが、ここは極度のフェシズムを持つ者達が集まる魔境……ではなく異能集団の吹き溜まりであるESP第二高校だという事実を思い出させられる。ぇえと、ああいう炎をどうのこうのっていうのはたしかパイロキネシスと言うのだったかな。違ったとしても多分大体そんな感じだろう。
「思ったんですが、先輩のESPで適当に命令すればいいんじゃないんですか?」
誰もが真っ先に思うことだろうが、僕をわざわざ呼んだということは、もしかしなくとも通じないのだろうか。
「耳栓をしているらしく、通じないのですよ~」
ぁあ、やっぱり。まぁ通じるなら僕は不要ですよね。それにしても意外な弱点を知ってしまった。ちなみに炎男はというと、こちらの会話に気づくこともなく、教卓がガンガン蹴っている。耳栓をしているのは本当らしい。それにしてもとんだサディストだな。教卓さんが可愛そうだ。
「では、ちゃちゃっとやっつけてきてください~」
にこやかに命令してくる先輩が悪魔にしか見えない。あれを? どうやって?
「あなたの能力なら炎の中に手を入れても大丈夫なはずです~。そこをこうバーンとやっつけて~……」
先輩はフックの様な動作をして見せるが、待て、その理屈はおかしい。僕の能力は氷であり、炎ではないし、炎の方が温度が高いので相殺しきれないでしょう。炎は何処までも温度が上がるけど、最低温度である絶対零度でさえ-273度までにしかならないのですが。
「大丈夫ですよ~。あなたの氷のESPの副能力である過剰エネルギー遮断系のESPは大体同じ原理らしいので、なんとかなるはずです~」
大体同じだから大丈夫と言われても……。いままで一般人だった自分には荷が重い。まさか炎まみれの人間をぶん殴る作業だとは思わなかったし、流石に腰が引ける。
「ふぅ、まぁこんなもんだな」
炎男は教卓を蹴るのを止め、満足そうに汗を拭う……ような動作を取る。口を開くたびに炎がバボバボ鳴って少し聞き取りづらい。あ、ヤバイ、もうそろそろこっちに振り向く。
「なんだ? また風紀委員……っ隣の男はなんだ!?」
炎男の顔は、目と口以外顔のパーツがわからないし、とても目つきが悪く、いかにも「僕! 不良してます!」という感じの野性味帯びた目だ。わざとしかめっ面してるとしか思えない。はっきり言ってしまえばとても恐い。体格は自分より一回り大きく、180cm無いぐらいだ。この学校は無駄に恐い人が多すぎる。実家に帰りたい。
「あなたの悪行もここまでですよ~。風紀委員に新しく入ったすっごい強い人にコテンパンにやられてくださいね~」
「っんだとゴルァ!」
え、なんで話通じてるの?炎男さん切れてますけど。おっかない。
『命令はできませんがテレパシーは使えるので~』
直接聞こえてくる言葉は普段聞いている声よりも澄んだ声色……とか思っている場合じゃない。炎男がこっちへ突っ込んでくる。いや、戦闘なんざできないのですがどうすればいいので
「オルァッ!」
真正面から喧嘩キックが飛んできたので、とりあえず両腕を交差して防御はしたものの、勢いで教室の入り口から廊下の壁まで中腰で後退を余儀なくされる。確かに熱くはないし、服も平気なようだが、普通に痛い。先輩は廊下のやや左奥に逃げて避けたようだ。
「っんで燃えねえんだテメェ!」
日本語で頼む。やばい、また突っ込まれる。けどどうすりゃいいんだ。
「しゃがめ!」
がくっと膝が折れて炎男の拳が頭があった場所の空を切り、炎男の拳が後ろの壁にぶつかる。
「アッパー!」
全身をばねにして渾身の力で炎男の顎を拳で貫く……のが理想だったが、炎男の場所が悪く、拳は空を切り、伸び上がった所で頭で顎を掬い上げる。勿論自分も顎が頭にささってとても痛い。さっきから勝手に体が動いているようだが、これは先輩の声のせいか。それでもやはり力が足りなかったのか、アッパー頭突きを受けて体制を崩してなお炎男の目は死んでなかった。
「金的蹴り!」
えっ? 今すこぶるえげつない言葉が聞こえてきましたが。僕の足は意思とか関係なく、文字通り無情にも炎男の股間へと吸い込まれていく。ぁあ、ごめん炎男。ちょっとだけ同情する。不自然な体制から炎男はガードすることも敵わず、金的蹴りは綺麗に決まった。哀れ、炎男はうめきながら崩れ落ちる。南無三。
「大丈夫か?」
いくら相手から仕掛けてきたとはいえ、男性諸君なら武士の情けの一つでもかけてやろうという気になるだろう。とりあえず、首筋に軽いチョップを打ち込むと痛みが引くのが早いという民間療法というか殆ど迷信に近いものを試してやる。
「あ、危ないですよ! 離れて下さい!」
「……調子に乗りやがってぇええええええっ!」
炎男の体が爆発したかの様に燃え上がる。熱くは無いが、炎で前がよく見えない。ゆらゆらとした炎から手が出てくると同時に胸ぐらを捕まれ、壁に打ち付けられた。苦しい……。炎に酸素を奪われて、上手く呼吸ができないのだろうか。右手で掴んでいる手を外そうとしても力が強く、外すことができない。炎男は目を血走らせて、口や鼻からも炎を吹き出し、耳からも黒い煙を噴出し、腹を何度も叩いてくるが、左手で防御するのが精一杯だ。この危機を脱するには自分のESPを今一度信じるしかなさそうだ。
 炎男と僕の間の床を思いっきり踏みつける。僕と炎男の間の床からバキバキと音を鳴らして足型の氷柱が生えてきた。炎男は流石に生えてくる氷柱を無視できなかったらしく、舌打ちすると後ろに下がり、なんとか胸倉を解放された。はぁ……なんとかなった。空気が美味しい。自身の目論みとしては炎男の床を壊して炎男から逃げる予定だったが、まぁ結果オーライだろう。それにしてもこれからどうしろというのだろうか。このままでは体力や力で劣る自分がやられるのは目に見えている。とりあえず一旦距離を取って相手の出方をうかがうしかない。
 などと一息ついている余裕は無いようで、炎男が爆炎で勢いをつけて「うるぁあっ!」と雄叫びをあげながら弾丸のごとくカッとんでくる。ぁあ、炎にはそんな使い方もあるんだなぁなどと感心している場合ではない。もの凄い勢いで飛んできた炎男にあっという間に押し倒され、後頭部を床にぶつける。さらにマウントポジションを取られ最早どうすることもできない。スローモーションのように拳を振り上げられるのを見て目を閉じ、歯を食いしばる。
「動くな!」
先輩の凛とした声が廊下に響く。ぁあ、無駄ですよ先輩。こいつは耳栓をしているのだから。と思ったものの、なかなかに拳を下ろさないので目を開けてみると、炎男は拳を振り上げたまま固まっていた。
「ESP解除! ESP使用禁止! 正座!」
次々出される命令に従う僕と元炎男。二人仲良く黙って正座。男は炎を纏っていたせいでやたら筋肉質に見えたが、見るとそこまででもなかった。髪は黒く、スポーツ刈りで、身長が高いこともあり見た目だけならスポーツマン風情だ。ESPを暴走させたせいか、制服が所々焦げている。上靴のラインの色が緑色だから、この男は二年生なのだろう。ちなみに赤いライン、赤い胸リボンの先輩は三年生。
「自分の能力で耳栓を燃やしてしまうとは、おっちょこちょいですね~」
右腕だけ組んで左手を頬に添えて、いじわるそうに、それでいて嬉しそうに上から目線で喋る先輩が少し恐いです。これが勝者の余裕というやつか。なんだか自分も負けたみたいだ。実際先輩が助けてくれなければ負けてたけど。それにしても何故耳栓の焼失に気づけたんだろうか。
「テレパシーの能力は何も相手に意思を伝えるだけではありませんよ~」
男は悔しそうに舌打ちをして右下を向く。
「炎のあなたが自分で耳栓を燃やしてしまったことに気づかなければ、私も気づけなかったかもしれませんが、一旦冷静になった時に気づいちゃったのが運の尽きです~」
氷柱で一旦距離を取ったときに冷静になってしまったんだろうなぁ。一応僕のESPも役に立ったと言ってもいいだろう。
「で、あなたの処分ですが……」
「ふん、煮るなり焼くなり好きにしやがれ!」
煮ても焼いてもこいつには効かないだろうけどな。過剰な熱は遮断してしまうし。
「暫く風紀委員をして頂きましょう~」
「え!?」「あ!?」と野郎二人で仲良くハモった。
「なんで風紀委員にするんですか?」
当然の疑問だろう。こんな危なっかしいのを風紀委員にするとか正気の沙汰とは思えない。
「単純に人手不足だとか、力仕事ができる人が必要なのもありますが~、ESPで暴れる人を派手なESPで取り締まれる人が居れば見せしめになって、暴動の抑止力に繋がる~などと思ったので~」
炎だから派手さはたしかにあるけど、周りへの二次被害も大きそうなんだけど……大丈夫なのかなぁ。
「ふん! し、仕方ねーな! ど、どうしてもってんならやってらねーこともねーよ!」
こいつ少し笑ってやがる。自分がこれからどういうことをやらされようとしているのか分かっているのだろうか。そんな怪しい態度を気にもせずに「交渉成立ですね~。では、命令解除!」と何の警戒もせず、先輩はあっさりと拘束を解除してしまう。多分テレパシーで嘘じゃないとわかったからなのだろうが、こんな奴信用できるのだろうか。
「これで会議室でアイスコーヒーとホットコーヒーの両方飲めますね~」
冷やさなきゃホットコーヒーでしょうが! とツッコミを入れる気力も出ない。さて、これで、僕はお役目御免ということで、晴れて自由の身だワーイ。やったー。万歳! と内心喜んでいたら後ろから大きな気配と共に元炎男に笑いながら肩を組まれる。やけに上機嫌だ。
「よお、さっきは悪かったな! これからは同じ風紀委員としてヨロシク頼むぜ!」
「いや、僕は、その……」
僕は今日でもう辞めたいのですが……。
「んだお前! 挨拶ぐらいしてもいいだろ!」
「よ、よろしくお願いします……」
面倒な日々はまだ続きそうです……。




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  1. 2009/06/12(金) 15:31:58|
  2. 雑記
  3. | トラックバック:0
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コメント

いい感じにラノベラノベしてるなw

所々誤字とか気になったがまあラノベだしなw
とりあえず秋学期はこのシリーズをずっと書き続けるって形でよろしくw
  1. 2009/06/13(土) 15:32:22 |
  2. URL |
  3. 々々 #-
  4. [ 編集]

……ずっと?
え、全くそんなことは考えずに書いてたんだけど……w

というか誤字はこういうところでこそ指摘するべきだと思うんだw

  1. 2009/06/13(土) 21:17:12 |
  2. URL |
  3. PB #Lis.ZDmI
  4. [ 編集]

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